精肉店

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そして、私が正式に店主として働くようになってからも、母と伯父に手伝ってもらいながら、最高級の肉と代々続く自家製のソーセージや燻製を日々研究してお客さんに提供した。 お客さんは昔からの常連さんが多く、私が作る加工品は常に好評で、代が変わっても店は安泰だった。 それから数年後、伯父が突然に亡くなった。 持病があるとは聞いていなかったし、前日もいつもと変わらず元気そうだった。 亡くなったのは、店の裏口付近。 その頃、伯父は営業終了後の清掃を担当しており、私と母は先に帰宅していた。 一体何があったのか、伯父の頬は獣に食われたように肉がえぐれ、苦悶な表情を浮かべながら亡くなっていた。 そして、祖母が伯父の遺体を見ながら、『くわばら、くわばら』と数珠をはめた手をすり合わせて拝んでいた。
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