第1章 欲望を喰らう鳥

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ピンヒールの耳障りな音が近付いてくる。 隣の席に座ると、女は唐突に話し始めた。 カウンターの客はその女と僕だけだ。 関わり合いたくなかったので、女の存在を完全に無視してやり過ごそうと思った。 しかし、女はめげることなく僕に話し掛けてくる。 「あなた。聞いてるの?」 -まずいぞ、本格的に絡まれそうだ。 「ねぇ。小鳥って。基本的に愛らしいものでしょう?」 耳に心地好い声だからたちが悪い。思わず合いの手を入れそうになってしまう。 「小さいからって甘く見たのが間違いだったの。あいつ、人間の欲望を喰らって生きてたのよ」 「人間の欲望?」 僕は不覚にも聞き返してしまった。
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