第1章 欲望を喰らう鳥

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「それもね。ただ猟をして喰らうだけじゃないのよ。ちゃんと育てて備蓄するんだから驚きよね?」 「育てて、備蓄?」 またしても聞き返している。迂闊にも僕はこの女のペースに巻き込まれてしまったようだ。 「そう。備蓄するの」 「人間の欲望を備蓄するってこと?」 「そう。人間の欲望を育てて、備蓄して、喰らうのよ」 「誰が人間の欲望を喰らうって?」 「だから、あいつよ」 「あいつって・・・・」 「聞いてなかったの?」 「すみません。うっかり聞き逃したみたいで」 女は尾をひくような長いため息をついた。
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