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「あの、元歌姫mayuが男だったってマジか」
「そうらしいな、で、再デビューするんだってよー」
「マジ萎える」
「でも、見てみたくね? どんな男かって」
「まあ、それは気になるな」
(その、mayuここにいますけど? ボクですけど?)
聞き飽きた会話に、僕はため息をつく。
僕がそのmayuだとは、誰もが気が付かない。ひとりを除いては、
「ツバサ君、話題だねぇーすごい」
「キサキ……まあ、スルーだね」
ボクの正体を知った「あの日」から、クラスメイトの貴崎(キサキ)満里奈(まりな)はあえて僕の名前をツバサと呼ぶようになった。自分の中で、何かしら思うところがあったらしい。黛では、mayuを連想させるからだろうか。
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