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性別を偽って、アイドルをしていたボクを、キサキは見つけて、励まして、再デビューのきっかけをくれた。あの立ち直れないと思っていた絶望から救ってくれた。キサキは、僕の大事なファンであり、大事な人である。
病弱で、手術から生還した病み上がり女子であるものの、基本は元気な通信制高校一年生だ。最近は、安定して学校に通えている。ボクのほうは、仕事の準備で微妙だけれど。
「デビューまで結構時間かかったよね。初ライブはバレンタインだって?」
「そうみたいだね。でも、どうせ冷やかししか来ないんじゃないかな」
「え、そんな」
「女装アイドルってだけで色物だし、それでも見に来てくれた人がいればそれで全力で僕の歌声に引き込むよ」
「さすがツバサ君、やる気だね!」
「生半端な気持ちじゃ、笑いものにしかならないからね」
アンチになったファンだって、いるだろう。俺の思い出を返せという手紙は、大量に事務所にも来た。仕方がないじゃないか、ボクだって好きで女装していたわけではなく、それが一番売れる手段だったんだから。
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