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「駄目だな……前の綺麗な声とはやっぱりくらべものにはならない。うまくはある、安定はある、でも声が……あの頃ほど気持ちがこもってる感じがしない」
レコーディング中、僕にマネージャーが言った。
あれから、ボクには男のベテランマネージャーが付いた。
mayuの頃についていた敏腕マネージャーの復帰である。
「そうですね……まあ、あの頃は必然的に売れないといけなかったんで……」
(今は、満たされていて歌声に力がないのかもしれない)
でもそれは、初めからわかっていたことだ。だから僕は、一度歌うのをやめたのだから。
「でもまあ、話題性は抜群だから、小さな箱を埋めて、それを全世界に配信すれば、話題にはなるよ。なにせ、あの世界的歌姫mayuだからね」
その看板が、重荷になるか、宣伝材料になるか。
僕のメンタルにすべてはかかっている。
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