4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
それは半年ほど前だった。
その日、商店街でラーメンを食った後、退屈凌ぎにパチンコ屋に入った。
平日だったせいか、打っている客は少なかった。
俺は左から三列目の通路の、入り口に近いところの台に座った。
並びには誰も座っておらず、俺はタバコに火をつけて玉を打ち始めた。
三十分ほど経った頃、ようやく一度目の当たりが来て喜んでいると、ふと誰かの視線を感じた。
俺の当たりを羨む奴でもいるのか?
うわずった気持ちで辺りを見回したが、俺の他には誰もいなかった。
気のせいか?
そう思ってパチンコ台の方を向きなおしたが、やはり誰かに見られている感じがした。
その時、パチンコ台の液晶に反射した自分の姿が映っているのだが、俺の肩で何かが揺れているのが見えた。
黒い靴に黒いズボンの裾。
高さからいって、靴が見えるのはおかしくないか?
俺はゆっくりと振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!