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すると、そこには恨めしそうに視線を落としながら、天井から首を吊ってる男がいた。
俺はパニックになり、椅子から転げ落ちた。
それを見ていたスタッフが、「大丈夫ですか?」と言いながら駆け寄って来た。
「男が首を」
指を差してそう言いかけた時、首吊りの男の姿は消えていた。
その時、それが噂の首吊りの男の霊だとわかった。
「いや、なんでもない」
そう言うと、スタッフは怪訝な顔をしながら立ち去った。
あのスタッフは、まだ噂を知らないようだった。
結局、その後は打つ気にもなれずにパチンコ屋を出た。
外では先に出ていた常連のじいさんが俺の顔を見て、ニヤニヤしながら笑っていた。
「初めて見たんか」
どうやら俺が首吊り男を見て、椅子から転げ落ちたのを見ていたらしい。
俺は苛立ち、じいさんを睨んだ。
「まぁ、そう睨むな。みんな最初は驚く。一杯おごるから、機嫌直してくれや」
そう言うとじいさんは俺の腕を引っ張り、行きつけだという居酒屋に連れていかれた。
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