パチンコ屋

3/11
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
すると、そこには恨めしそうに視線を落としながら、天井から首を吊ってる男がいた。 俺はパニックになり、椅子から転げ落ちた。 それを見ていたスタッフが、「大丈夫ですか?」と言いながら駆け寄って来た。 「男が首を」 指を差してそう言いかけた時、首吊りの男の姿は消えていた。 その時、それが噂の首吊りの男の霊だとわかった。 「いや、なんでもない」 そう言うと、スタッフは怪訝な顔をしながら立ち去った。 あのスタッフは、まだ噂を知らないようだった。 結局、その後は打つ気にもなれずにパチンコ屋を出た。 外では先に出ていた常連のじいさんが俺の顔を見て、ニヤニヤしながら笑っていた。 「初めて見たんか」 どうやら俺が首吊り男を見て、椅子から転げ落ちたのを見ていたらしい。 俺は苛立ち、じいさんを睨んだ。 「まぁ、そう睨むな。みんな最初は驚く。一杯おごるから、機嫌直してくれや」 そう言うとじいさんは俺の腕を引っ張り、行きつけだという居酒屋に連れていかれた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!