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そこで、じいさんに酒を奢ってもらいながら、パチンコ屋の首吊り男の霊の話を聞いた。
その男は、五年ほど前に閉店したパチンコ屋の店長だった。
噂では、『多額の借金があった』『売上金を使い込んでいた』『裏組織に殺された』など様々だったが、気の弱い店長だったとじいさんは言った。
男が亡くなったのは、右から三列目の中央付近。
営業終了後、天井付近にあった金属棒に紐をかけ、首を吊ったそうだ。
見つかったのは、翌日のことだという。
それから、時々ああやって現れるという。
だが現れる場所は同じとは限らないし、時間帯も決まっていない。
だから、中には何度も目撃する客もいるらしい。
じいさんもその一人だった。
「俺はもう慣れた。まぁ、出てきたら手ぐらいは合わせてやるがな」
そう言って、赤ら顔ででかい口を開けて笑った。
「まぁ、あのパチンコ屋が繁盛しないのも、あの首吊り男のせいだろう。あのパチンコ屋は呪われておるな」
じいさんはそう言って、また酒を一口飲んだ。
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