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隣で大当たりした男が、玉箱を運んでいる最中に何かに驚いて箱をひっくり返した。
床の四方八方に、パチンコ玉が散らばった。
慌てふためきながら天井を見上げているその男を見て、「あー、首吊り男を見たんだな」と俺はほくそ笑んだ。
スタッフに手伝ってもらいながら散らばったパチンコ玉を拾ったようだが、玉箱の三分の二ほどしか集まらなかったようだ。
いい気味だ。
そう思いながらパチンコ台に目を映すと、首吊り男が俺の事見ていた。
振り返ってもその姿は見えず、俺は苛立ちで舌打ちをした。
気づけば財布の中身は空っぽになった。
項垂れながら、パチンコ屋を出た。
こんなことはざらにある。
それでもやめられないのは、大当たりした時の高揚感が忘れられないからだろう。
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