スルメの話

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 最近、老いた父がアパートで独り暮らしをしている夢をよく見る。  料理は何もできず、相変わらずスルメばかり焼いて叩いている。黙々と金槌を振る父の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。その光る眼球に映っているものは、幼少期の僕だった。
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