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優奈の家は、樹の家の隣にある。
つまり、お隣さんだ。
生まれた時から、二人はまるで姉弟のように過ごしてきた。
「おばさん、またね」
「優奈ちゃん。いつもありがとね」
リビングに顔を出すと、テレビを観ていた樹の母親が、腰を上げながら振り返った。
「全く、びっくりしちゃったわよ。いきなり優奈ちゃんのとこ受けるって言うから」
「あはは。大丈夫だよ、おばさん。樹、すんごい頑張ってるから」
樹の方に視線を向けると、優奈は「ね!」と小首を傾げた。
「ほら、行くぞ」
ぶっきらぼうに声を掛けながら靴を履くと、樹はそそくさとドアを開けた。
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