Chapter.1

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優奈は、一つ年上の高校一年生だ。 昔から、何かと姉貴風を吹かせ、年下の樹の面倒を見てきた。 樹が、実力より少し高めの高校を受験しようと思ったのは、ただ単に優奈と同じ高校に行きたかったからだけではなかった。 「なぁ。優奈……」 「なぁに?」 優奈が振り向く。 「あのさ、合格したら……」 「ん?」 サラサラストレートの黒髪が、優奈の動きに合わせてふわりと舞った。 「……いや。何でもない」 少しだけ眩しそうに目を細めると、樹は柔らかく微笑んだ。
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