Chapter.1

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「優奈……」 『何?』 今なら、きっと言える。 いや、むしろ、今しかない。 樹はぐっと、右手を握り締めた。 「あのさ、もし受かったら……」 『うん』 一旦言葉を切り、深呼吸する。 胸の鼓動が速くなった。 「来年は、くれよな。チョコ……」 今の樹の、精一杯だった。 そんな一世一代の告白を、優奈が優しく受け止める。 『わかった。考えとく』 今はまだ、これでいい。 ちょっとずつ、進めばいい。 今までも。これからも……。 樹は、右手の中にある温もりに、想いを込めた……。
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