Chapter.2

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Chapter.2

「ただいまぁ」 「お帰り、樹」 リビングに入るなり、樹は愛しい優奈を抱き締めた。 合格祈願の御守りが効いたのか、無事に合格することができた樹は、翌年、念願の手作りチョコをゲットし、優奈との交際をスタートさせた。 それから十年の月日が流れ、現在、優奈は樹の最愛の妻となった。 新婚生活をお互いの両親に見られることに気恥ずかしさを覚えた二人は、実家近くのマンションに新居を構え、ラブラブの毎日を送っている。 「ご飯にする? それとも……」 お決まりの新婚コントの台詞を口にした優奈が、悪戯っぽくキッチンカウンターの陰に消える。 「あれぇ? 優奈ちゃん、どこ行ったのかなぁ?」 バカップルよろしく追いかけようとした樹を、「じゃーん!」勢いよく立ち上がった優奈が制す。 「はい、これ」 差し出されたそれは、小さな包みだった。 見覚えのある、焦げ茶色の包装紙に、赤いリボン。 十年前の記憶が蘇る。 そういえば今日は、バレンタインデーだ。
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