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Chapter.1
「あ、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ」
優奈につられ、樹も壁掛け時計に目を向けた。
「あ、ほんとだ。いつの間に」
時計の針は、十時を少し回ったところだ。
かなり集中していたらしい。
樹は問題集を閉じると、大きく伸びをした。
「じゃ、また明日」
「送ってくよ」
同時に立ち上がろうとした樹を、優奈が制す。
「大丈夫だって」
ノートとペンケースを両腕に抱えると、優奈は「じゃあね」と手を振りドアを開けた。
「やっぱり送ってく。ちょっと外の空気吸いたいし」
階段の途中で振り向いた優奈が、「そう?」と微笑んだ。
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