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ある晴れた朝、ドラゴンはのっしのっしと森の中を行進していました。
周りの木から小鳥が、草むらからはウサギが、ドラゴンの行進に驚いて逃げていきます。
それでもドラゴンはのっしのっしと進んでいきます。
ドラゴン5匹分ほど進んだところで、行進は止まりました。その場所は視界が開けていて、青い空がドラゴンの上を塗り尽くしています。
切り立った崖の上。ドラゴンは風を受けながら目をつむります。
そしてドラゴンは翼を広げます。その小さな翼を。よく見ないと、大きな体に隠れて見えないくらい小さな翼です。
バサバササバッサ……
ドラゴンは必死に翼を動かします。しかし、その動きは壊れた機械のように不安定でめちゃくちゃでした。
いくら羽ばたいても、ドラゴンの体はちっとも浮かびません。
グルルと機嫌の悪そうな声を出すと、ドラゴンはグッと力を入れて思い切り跳びました。
バッサバササバッサバッサ……!
ドラゴンの翼が風を掴むことはなく、その体は下へ向かってドンドン落ちていきます。
ドシーン!!
ドラゴンは崖下にあった木を下敷きにしました。しかし、その大きな体のおかげで、大きなケガはしていないようです。
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