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次の日。ドラゴンは再び崖にやってきていました。大きく息を吸って、翼をバサバササと動かします。
バサバッサ。まだ遠い。
バッサバササ。まだ近づかない。
バッサバッサバサバササ!いくら羽ばたいても、空はちっとも近づきません。
ドラゴンの瞳はどんどん不機嫌そうな色に染まっていきます。グルルというより、ゴゴゴウという声が漏れでます。
そして、昨日と同じようにドラゴンは崖から跳ぼうとしました。
するとその時ー。
「ねぇねぇ。キミはここで何をしているんだい?」
リンリンと響く高い声。ドラゴンはギリギリのところで踏み止まり、辺りを見回しました。しかし、誰もいません。
「キミの上だよ、上。ボクのこと見える?」
また響く高い声。その声につられるように、ドラゴンは空を見上げました。
「こんにちは、いい天気だね。」
そこにいたのは、空色の小さな小鳥でした。パタパタと翼をはためかせながら、ドラゴンを見ています。
大きな大きなドラゴンとは比べものにならない小ささでしたが、ドラゴンはその姿から目が離せませんでした。
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