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「ねぇ、キミは何をしようとしてたの?」
小鳥はもう一度、ドラゴンに問いかけました。ドラゴンははっとすると、フゥンと鼻を鳴らします。
「お前には関係ないだろう。」
素っ気なく投げ捨てるような答えに、小鳥は納得していないようです。ドラゴンに近づくと、カンカンという声で言いました。
「いいや、関係ある!だって、ボクはキミが何をしてるか知りたいんだから!教えてくれないと、キミの頭に巣を作るぞ!」
小鳥のなんとも可愛らしい、そして迷惑な脅しにドラゴンは少し反応しました。
ずっと空色の小鳥が頭にいるか、さっきまでの行動の理由を教えるか。
ドラゴンは考えた末、こう答えました。
「空を飛ぶ練習をしてたんだ。」
「空を飛ぶ?」
空色の小鳥はキョトンと首を傾げました。
ドラゴンは言ってからすぐに後悔しました。この小鳥もきっと自分をバカにする。他の動物たちの声が耳に蘇ります。
しかし、小鳥はやはりリンリンという声を響かせました。
「なら、ボクがキミに飛び方を教えてあげるよ。」
小鳥のその言葉に、今度はドラゴンが首を傾げます。今まで無理だと言われ続けてきましたが、手伝うと言われたのは初めてだったからです。
「飛び方を?お前がぼくに教える?」
「そう!なかなか良い考えだろ!」
ドラゴンの確認にも、小鳥は元気よく答えました。
自分より小さいはずの小鳥を見上げながら、ドラゴンは心にホカホカした暖かさが満ちるのを感じました。
「でも、いくらやっても飛べなかったんだぞ?お前に教えてもらっても飛べないかもしれない。」
「飛び方にはコツがいるんだ。ボクらだって生まれてすぐに飛べるわけじゃない。ちゃんと教えてもらって飛べるようになるんだ。だから、キミもきっと飛べるよ!」
自信満々な小鳥に押されるように、ドラゴンは小さくこう言いました。
「じゃあ、教えてほしい。空の飛び方。」
ゴゴゴウという声はいつのまにか聞こえなくなっていました。小鳥もドラゴンの返事にパタパタと飛び回って答えます。
「よし!ボクに任せてくれよ!」
ドラゴンの心の雲が小鳥の羽ばたきでどんどん晴れていきました。今までに聞いたことがないような声で、ドラゴンはホワォホワォと鳴きました。
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