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次の日から、2匹の特訓がスタートしました。
「いいかい、やみくもに羽ばたいてもダメなんだ。こう、動きをそろえる感じでグォーって感じなんだよ!」
小鳥はそう言いながら、羽を大きく動かして見せました。そろえる感じでグォー。なんとも分かりにくい説明でしたが、ドラゴンは必死に真似をします。
パッタパッタパッタパッタ
バッサバッサバサバササバッサ
パッタパッタパッタ
バササバッサバサ
「大きくゆっくり羽ばたいてみたらどうかな?こんな感じ。」
パッタ…パッタ…パッタ…
小鳥の羽ばたく様子をドラゴンはじっと見つめます。
小鳥がルルルと促すと、ドラゴンは大きく深呼吸してもう一度羽ばたき始めました。
バッサバッサバサ
パッタ…パッタ…
バッサ…バササッ…バッサ
どれだけドラゴンが羽ばたいても、空はちっとも近づきません。真剣そのものでやっているはずなのに、ドラゴンの羽ばたきは次第に乱れていきます。
グルルという声とともに、ドラゴンはあの日のように足にグッと力を入れました。
「待って、待って!何しようとしてるの?」
その様子に気づいた小鳥が慌てて止めます。ドラゴンは前を見据えたまま、無表情で言いました。
「ここから飛べば、少しは浮かべるかもしれない。」
小鳥は一瞬キョトンとしましたが、やはり慌ててこう言いました。
「そんなのまだ無理だよ!ちゃんと翼の動かし方に慣れとかないと、崖の下に落ちちゃうよ!」
「今ここでやっても全然浮かばないじゃないか!」
カンカン、グルル。2匹の大声がぶつかります。やがて疲れたのか、2匹は急に静かになりました。練習初日だというのに、もう気まずい雰囲気です。
しばらく黙り込んだ後、ポツリと呟きました。
「「あの…。」」
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