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2匹の声が重なりました。お互いに顔を見合って、また気まずい空気になります。それから響いたのは、小鳥の高い声でした。
「ごめんね。ボクの教え方が下手くそだったかも…。」
「そ、そんなことない!」
小鳥があまりにもへこたれて言うので、ドラゴンは思わず否定しました。
「ごめん、ぼくが焦っただけなんだ。ずっとずっとずっと練習しても飛べなくて、お前が教えてくれたらすぐに飛べるって思ってた。でもダメだったから…。」
まだまだ言いたいことがあるのに、ドラゴンは言葉に詰まってしまいます。
その中でドラゴンの口からポロリとこんな言葉が溢れました。
「…もう一緒にいてくれない?」
ウルウルと響く声。とてもあの大きな体から発せられた声だとは思えないくらいに小さな声でした。
しかし、その声は小鳥のランランとした声で暖められました。
「約束しただろ、キミをきっと飛ばせてみせるって。1匹になんかするわけないよ!」
ドラゴンにその言葉がゆっくりとしみ込んでいきます。
こぼれそうになった水にフタをして、ドラゴンは何かを呟きました。それを聞いた小鳥は満足気に旋回すると、ドラゴンの目の前で羽ばたいてみせます。
「さぁ、一緒に練習しよ!」
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