おにーさんとの出会い

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おにーさんとの出会い

「魔術師は向いていないですね…治癒師なんてどうでしょうか?」  15を迎えた時に受ける魔力判定の結果は、そんな散々なものだった。  魔術師に憧れていた僕にとっては、この世の終わりとも言える診断内容。それでも、高い魔力を評価されて、治癒師の道が残されているのは恵まれている。田舎の村に生まれた僕にとって、王都への足掛かりを得たって事はすごい事実に変わりない。平凡で特に秀でている事も無い僕は、勇ましく剣を取り騎士になる道も、計算高く有益な判断を即に下す商人の道も選べそうに無い。  夢の職業からは掛け離れたスカウトだったけど…好条件の話に迷うこと無く飛び乗り、王都行きが決定した。  ◆ 「遅くなってしまったなぁ…」  補充予定の薬品がたくさん詰まった箱を抱え直しながら、薄暗い廊下を歩く。  治癒師として王都勤めを始めて早1年…雑用から、治癒班の当番メンバーに昇格が出来たものの、仕事のメインはやっぱり雑用が多い。     
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