先輩との午後

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「これでも、治癒班で詰めてる日もありますから、大丈夫です。じっとしてて下さいね」 「待て待て、まずいって!」 「行きます」  目を瞑り気を集中させる。繋いだ手から、自分の魔力を送り込む…そんなイメージ。相手の脈に乗ったのか、すぐに温かいものが僕の方にも流れ込んできた。いつもなら温かいなぁで終わる感覚なんだけど…なんだろう、これ…?今回はいつもとちょっと違う。初めての感覚に戸惑うけれど、繋がっている所から次々に流れ込んできて止めることが出来ない。温かいものが入りすぎて、少し息苦しくなってきたようで…でも、物足りなくて… 「 ――― ッ、ぁ、」  その感覚に夢中になっていた僕は、堪えるような苦しげな声を聞いて、弾かれたように手を離し目を開ける。  そうすれば、目の前に居たエリオットさんが、顔を赤らめて息も絶え絶えな状態で立っていた。何でこんな苦しそうなんだ…?僕は、治癒を施したはずなのに、明らかに体調が崩れている。 「だ、大丈夫ですか…?!」 「何これ…すっご…」 「も、もう一度施します、手を、」 「いや、もう大丈夫…あんがと」     
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