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先輩との午後
結果から言えば、僕の荷物は最後までエリオットさんに持って頂き、気付けば治癒室まで運ばせてしまった…!
人数は減っただろうけれど、治癒室の中には人が居る。さすがにほかの人まで荷物持ちの姿など晒させる訳にはいかないので、治癒室前で箱は降ろしてもらった。とんでもなくお世話になってしまった…お礼を言っても言い足りない…!気持ちが収まらなくて、何度も頭を下げていたら、何回目かでチョップされた。
「しつこい、もうしなくてよろしい」
「う゛…っ、す、すみません…」
「別に怒ってねーよ」
怒られてしょんぼりしながら顔をあげると、予想外に楽しそうな笑顔を浮かべたエリオットさんがそこに居た。ひらひらと振られる手に自然と目がいく。すると、その手に小さな切り傷があるのを発見した。
「指…」
「え?あー、これ?クレアちゃんがうっさくてなー、書類整理してたら紙で切ったんだ。こんぐらいなら舐めときゃ治んだろ」
「そんな、駄目ですよ!」
せめて傷を治癒しよう!咄嗟に思いついたけれど、僕にしてはとんでもない名案に一人頷き、エリオットさんの手を両手で握る。
「ちょ、待って、何する気?」
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