義賊始動

2/15
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/946ページ
無事ファウストを救出した一班と三班はファウストの体調を考え森で野宿する事になった為合流場所を森の出口から森を抜けた先にある最寄りの町へと変更。合流するまでその町で二班に待っていて貰える様にタウに二班へ伝えて貰ってあるし、何事も無ければ今日中にでも合流が出来るだろう。 そんな訳で現在森を出るべく歩いているのだが、その中には班のメンバーだけでは無く、ランバートが連れて来た少年兵エラムの姿もあった------ カプリチオの支配下にあった魔物達はカプリチオが倒された事により自由の身。 そんな危険な場所に行き場の無い少年兵を放って置くのは憚られた為、取り敢えず拾った三班が責任を持って暫く保護する事となってしまったのだ。 (何でこんな面倒な事になるんだ……) 彼を保護するのは正しい行動なのだーーー 放っておけば良いものをと僅かに思ってしまいそうになる冷たい思考を道徳観で捩じ伏せ、オリーブは小さく溜め息を吐き出す。 (アイツ、これからどうするんだろ) 年恰好が近いから、という理由だろうか。タウと話しながら前を歩いているエラムの後ろ姿を眺めながら、オリーブはふと思う。 魅了を受けていたからとはいえ彼は帝国から離反し、それを知られてしまっている。 此処がローゼンベルクで彼がローゼンベルク出身者とはいえ、今この地は帝国領土だ。離反者である彼にとっては生き難い筈だが、かといってゲリラ隊である自分達と行動を共にするには彼は弱い、最悪命を落とす危険がある。 (まぁ………今すぐ答えが出る事でも無いし、オレが考えても仕方ないか。最後に決めるのはアイツ自身なのだから) 「心此処に在らず、といった様子に見えるが、どうかしたのか?」 「ん……あぁ、アンタか」 自分でも気付かない内に考え事に没頭していたのか、ヨハンナが隣に来ていた事に気付けなかった。これが敵だったなら今頃自分の首は胴体から切り離されていた事だろう、隙だらけにも程があるとオリーブは内心で自分に呆れた。 「何か気になる事でもあるのか?」 「まぁ、色々とーーー ランバートの事頼まれてたけど割りとファウストさんも危ういだとか、あの少年兵の事とか」
/946ページ

最初のコメントを投稿しよう!