義賊始動

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あまりに歯切れの悪いオリーブの返事に、ヨハンナは本当に分かっているのかと問いたそうな表情で見詰める。しかし当の本人はそんな部隊長の眼差しに対して一切気付かぬフリをして再度エラムの背に目を向け、昨夜の会話を思い出し始めた。 彼の話によると、ローゼンベルク戦役時に帝国に寝返ったラッツェンベルガー伯爵なる人物が数人の貴族と共に「帝国諸侯連合軍」という物を組織しており、彼もそこの所属。 主な任務はローゼンベルクの治安維持とある行方不明者の捜索で、その行方不明者とは”公太子ハインリッヒ” ”侯爵家長男オスカー” ”魔導師シウス” そしてランバートとファウストの二人で、捜索の理由としては『公国の未来の為』らしい。 因みにそれを聞いたヨハンナとオリーブを含む一班と三班の面々は、ぼんやりとしたその理由に微妙な表情を浮かべていた。 「……何を企んでいようが、敵なら斬れば良いだけか」 「早速一人で考え事かい?」 「昔からの癖だ、すまない」 溜め息を吐くヨハンナにもう一度謝罪をし意識を前方へと向けると、道の先がやや明るくなって来ているのに気付く。 森の出口まで、もう直ぐだ。
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