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「私は……レオナルドとそういう関係になったの。あなたとは……うん、もう終わったのよ」
「終わったってどういうことだよッ!!!」
瞬間的に頭に血が上って、思わず怒鳴りつけてしまった。
勇者からパーティから出ていってくれ、なんて言われたことよりもよっぽど心に響いた。
「お前、この旅が終わったら故郷に戻って一緒になるんじゃなかったのかよ!!」
「ごめん……それは、無かったことにして。今、私は『そんなこと』考えられない」
「そんな、こと……? そんなことってなんだよ!!」
「やめないか!!」
思わずシャオに掴みかかりそうになった俺を止めたのは勇者レオナルドだった。
キッと俺を睨みつけていて、止めた時に掴まれた方に、グッと力を込められた。
「やめないか。シャオが怖がっているだろう」
「ッ!」
シャオが怖がっている――お前がそれを言うのか!
誰のせいで俺がこんなに憤ってると思っているんだ! どうして俺が悪いみたいな言い方をされなければならないんだ!!
でも、そんな俺とは対照的に、シャオは自分を庇ってくれたレオナルドにうっとりとした視線を向けている。
「シャオ!」「おっと、それ以上はもう見過ごせないね」
なおも言い募ろうとした俺を、女戦士が後から羽交い締めにする。
スキルと、基礎的なステータスの差で、後からがっちりと組まれると身動きができない。
それでも、俺は納得なんか出来ていない。
パーティから追い出されるのは、いい。でも、それとこれとは話が別だろ!
「離せ! 俺は納得なんかしちゃいない! なんの説明も、言い訳も聞いてないぞ!」
「説明も、言い訳なんかもあるもんかい。アンタがレオナルドに負けた、それだけだろ」
「うるさい!」
そんな言葉で納得出来るならこんなに叫んでいない。
そんな言葉で納得するほど、俺は人間が出来ちゃいない。
そんな言葉で納得できるほど、シャオとの絆は浅くなかったはずだ。
「いいから、離せ、離せよ!」
女戦士の拘束を、体を捻りながら外そうとした時――
「いい加減、静かにしてください」
静かにそう告げた女僧侶の言葉と同時にかけられた睡眠の魔法で、俺の意識は眠りの底に落ちていった。
普段なら、こんな、ま、ほう、なんかに…………。
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