友達の詩(アサキ×ルン)※

10/10
前へ
/112ページ
次へ
結局こんな何も無い広場には。ぽつんと停まった月の車以外は、誰も来る気配がない。 目を開けば。 暖かい車内。 後部座席にルンはきちんと服を着て、一人横たえられていてた。 仰向けになったら。 サンルーフから見える星が。 キレイに瞬いてる。 カーステレオから、幽かに、 クリスアレンの 「LIVE LIKE WE'RE DYING」が聞こえる。 優しい声に。じわり、と涙。 「ルン君?起きた?」 助手席で寝ていたアサキが、振り返ってきた。 「うん…」 「寒くない?」 「寒いから…」 「わあ!ゴメン!」 温度上げるよ、とエアコンの調節をするアサキに。 「大丈夫。そうじゃなくてさアイダさん。外が寒いから。星が…キレイに見えるよ」 腕を伸ばしたら、つかめそう。って。両手をサンルーフに掲げる月。 「ホントだね…ね。ルン君?」 「何?」 「俺達もう、タダの友達じゃ、ないよね?」 「――そうだね」 「好きだよ。ルン君」 「もう、解ったって」 「解ってても言わせてよ」 好きだよ。とまた、言い聞かせるように言われて。 「俺も…アイダさんのこと…」 (了)
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加