友達の詩(アサキ×ルン)※

5/10
前へ
/112ページ
次へ
「ルン君、明日暇?」  珍しく、夜中にアサキからの突然の電話。聞くと朝っぱらから行きたいところがあるとかで。 最初は戸惑った月も。 「――別にいいけど…」  口では言うものの、本当は嬉しくて、明日やろうと思っていた月の中の予定は全て一瞬のうちにキャンセルとなった。 「――もひとつお願いがあるんだけど。ルン君に車出してもらっていい?」 「いいよ?何処まで行けばいいの?」  待ち合わせ場所は、ユリカモメ某駅の階段下朝9時半。近くのコインパーキングに車を止めて行ったら。アサキが既に待っていた。 「ゴメン、待たせた?」 「全然待ってないよ。まだ時間前だし」 当然ユリカモメに乗るものだと思ったら。 「あ。乗るの船だから」 アサキは桟橋の方向へ向かって行く。 「隅田川クルーズ?」 朝から? 「俺の行くデートコースって、ちょっとチョイスおかしいのかなあって。今日はルン君に見てもらおうと思ってるんだ」 ゴメンね、休みの日に無理につき合わせて、と言われても。 「――これって、何時も話で聞いてるところに、連れて行かれるってこと?」 「そうそう、今日はルン君とデートだよ!」 笑顔でアサキにあっさり言われて。本当は嬉しくて笑顔を返したいのに、 「何で俺なんだよ…」 月はその笑顔を押し殺して、無理矢理不満そうな顔を作った。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加