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結局こんな何も無い広場には。ぽつんと停まった月の車以外は、誰も来る気配がない。
目を開けば。
暖かい車内。
後部座席にルンはきちんと服を着て、一人横たえられていてた。
仰向けになったら。
サンルーフから見える星が。
キレイに瞬いてる。
カーステレオから、幽かに、
クリスアレンの
「LIVE LIKE WE'RE DYING」が聞こえる。
優しい声に。じわり、と涙。
「ルン君?起きた?」
助手席で寝ていたアサキが、振り返ってきた。
「うん…」
「寒くない?」
「寒いから…」
「わあ!ゴメン!」
温度上げるよ、とエアコンの調節をするアサキに。
「大丈夫。そうじゃなくてさアイダさん。外が寒いから。星が…キレイに見えるよ」
腕を伸ばしたら、つかめそう。って。両手をサンルーフに掲げる月。
「ホントだね…ね。ルン君?」
「何?」
「俺達もう、タダの友達じゃ、ないよね?」
「――そうだね」
「好きだよ。ルン君」
「もう、解ったって」
「解ってても言わせてよ」
好きだよ。とまた、言い聞かせるように言われて。
「俺も…アイダさんのこと…」
(了)
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