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颯はよろけた処に足を掛けられて、簡単にボンネットに押し倒された。
サトリはその両肩を手で押さえつけて、否を言うばかりの唇を噛み付くように塞ぐ。
激しい抵抗を、体重をかけて何とか押さえ込む。
『最近颯くん鍛え過ぎ。押さえ込むの大変』
只でさえ身長差あるのに・・・。
大好きなあの撫で肩が無くなるくらいマッチョになるなら、絶対トレーニング阻止だ、とまたキスをしながら外側を旅するサトリの思考。
獲物の前をうろつくように幾度も自分の唇を辿っていた舌に耐えかねて、食いしばっていた歯列を颯が観念したようにほんの少し開くと、待ち構えていたサトリの舌が口内へ忍び込んだ。
「んっ・・・あ――は・・・サトっ・・・」
空気を求めて喘ぐその声が、
やけに艶かしい。
『おいおい、声だけで俺を逝かせるつもりかよ』
歯列を内側からなぞって口内を幾度も幾度も舌で探ってから、やっとサトリは颯を解放した。
唾液が糸を引いて離れていくのが、
『ちょっと名残惜しいって思う俺って馬鹿だよな・・・』
そんなこと考えるのが口惜しいから颯は負け惜しみを言う。
「背中・・・冷たい。車掃除しちゃっただろ」
「ゴメン」
「ダメって言ったのに」
「だって颯くん逃げるんだもん」追っかけたくなるじゃん。と唇を尖らせてサトリが文句を言う。
「犬かよ・・・」
「大丈夫。もう今日はしないから。チューだけで我慢するから家帰ろ」
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