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すると琉賀は突然、俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
「なっ……んむ……」
不意打ちのことで避けきれず、いつもより簡単に受け入れてしまう。突き放してやめろと口にすることもできないまま、強引に舌を絡めとられ、そして。琉賀の手が不穏な動きをして、俺の胸元をまさぐった。
「っん……やっ」
辛うじて隙間ができた時、ようやく声を出せたのだが、琉賀の手の動きを封じることもできず、やがて夏服の薄い生地の上から探り当てられてしまう。
「……んぁ……っ」
そして直に触られているのと変わらない感触を味わいながら、俺は明らかに感じていると分かる声を上げてしまった。それで余計にやる気を出してしまったらしい琉賀は、執拗にいじり続けたと思えば、次第に下へ下へと手が降りていき……。
「てめぇ、調子に乗るな!」
鳩尾に俺の怒りやら焦りやら、とにかく収拾のつかない思いのたけをぶつけてやった。
「キスならまだしも、変なところ触るんじゃねえ!」
「へ~?キスならいいんだ」
力加減したつもりはなかったのに、琉賀は全く痛がっている様子を見せない。いつもながらに、なんて頑丈な奴だ。俺の力が弱いかもしれないという可能性には、この際目をつぶる。
「うっせえ!んなわけあるか!この変態セクハラ猥褻野郎!」
俺が息を乱れさせて怒鳴ったというのに、琉賀は笑っている。それも心底嬉しそうに。
「なんだよ。実はSのふりしてМだったとか言うなよ?」
「ぷっ、言わない言わない。姫が喘ぎ声堪えて泣きそうになっているところ見たいもん。それが俺の手でそうなるなら、尚更いい。だから多分、俺はSだよ?」
「多分どころか、普通にSだろ」
呆れかえっていると、琉賀は真顔になって言った。
「その調子だよ。今みたいなことをされそうになったら、そうするんだぞ?一番はそんな状況 にならないことだけれど」
「は……え……ああ、うん。分かった」
真っ当なことを言われて、素直に頷く他ない。
「それでいい」
「って……うわ!?」
突然後頭部に手を添えられたかと思うと、部室の床に押し倒された。
「なにす……」
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