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 予感がしていた。そこへ行っては駄目だと。それでも行かなくてはならない。そこへ行けば全てが分かるはずだと確信していた。 「開いている?」  生徒会室のドアが開いていた。ほんの少し、隙間から覗ける程度に。しかし、照明は点いていない。きっと閉め忘れたのだろう。  なんだ、俺の予感は外れたのか。いくらかほっとして、何気なく隙間から中を見た。 「!」  人がいた。  窓から差し込んだ夕陽に照らされて、二人の人影が浮かび上がる。一人は椅子に座って眠っている。もう一人は座っている方の人間に顔を近付け、唇を重ね合わせていた。  その二人を俺は知っている。知らない人であってほしかった。  なぜ。なぜこんなに胸が痛むのか。たとえキスをされているのが、俺に軽いのりで愛を囁く琉賀だとしても、琉賀に対してキスをしているのが、憧れの天王寺要その人だとしても。こんなに胸が痛む必要はないはずだ。  それなのに俺は、その場面を見て、立ち尽くし、こんなにも胸を痛めている。唇を噛みしめた俺の頭の中で、何度も何度もその言葉は繰り返し再生され、苦しめる。 「あいつ、なんて言ったっけ?ああそうそう、琉賀だったな。そいつ、一年の時に付き合っている相手がいたらしい。今でも諦められずに引きずっているという話だ」
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