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 男子校、それは神秘の世界。この高校に入学するまでの俺は、何も知らなかった。ここまで衝撃的で波乱に満ちた世界が存在するということを。 そもそも、他の男子校とか女子校はどうだか知らないし、うちの学校が特殊なのかもしれないのだが、少なくともうちの場合は、外の世界とは違う日常と常識があった。それは。 「ひぃやああああ!やめてぇえええ!」  早速、それが始まったらしい。悲鳴が聞こえた方を見やると、哀れにも半裸状態にひん剥かれた美少年が、大柄な野獣どもに襲われていた。あの少年は最低でも週一で襲われている。  いじめとは違うのだが、強姦もいじめの一種と言われれば否定のしようがない。何を血迷ったのか、うちの学校の野郎どもの多くは、女に飢え過ぎていかれたのか、その矛先を手近の同性に向けるようになった。  しかし、あの少年がいくら女顔負けの愛くるしい容姿をしているからと言って、所詮は同じものがついている。それに欲望を覚える感覚は未だに理解しがたい神秘で、いつになくついまじまじと眺めてしまった。  それが失敗だったらしく、野獣の一人が顔を上げた。そして、ばっちり目が合ってしまう。 「なに見てるんだよ、お前」 「いや、物好きだなあと」 「は?」  ついうっかり本音を漏らしてしまい、ぱっと口を押さえるが、時すでに遅し。野獣どもの視線が少年から離れ、睨みを利かせてくる。 「い、いや、今のは言葉の綾で……」  へらへらと笑いながら後ずさり、そのまま尻尾を巻いて逃げかけた時だった。野獣の一人が何かに気が付いたように目の色を変えて俺を見たかと思えば、いきなりぐいと腕を引っ張られてしまう。  そして、他の仲間に対して言った。 「俺、こいつでいいや。お前はどうよ。こいつ、意外と悪くないぞ」 「は?ちょっと、何を……」  俺が慌てて振り払おうとするが、ますます強引に引き寄せられて、下卑た笑いが眼前に迫る。まさかの貞操の危機というやつだった。 「へえ?人数合わせにはちょうどいいかもな。じゃあ、俺はこっち抱えていくから、お前はそっちな」 「うい~」  勝手に話を決めてしまうと、俺と少年を担いでそのまま連れて行こうとする。 「離せ!」
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