第6話 やんごとなき菊池の成績事情

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 真面目な顔をして門脇がクロードを呼んだ。 (クロード先生……?)  門脇のそんな言葉、初めて聞く。 「外国じゃ当たり前かもしれないけど、日本じゃマイナーなんだ。しかも学生と先生って関係だし、知られるとまずいんだ。だから、これは俺と先生の秘密。誰にも言わないで欲しい」 「か……門脇?! 何、言ってるんだ、お前」  知己が諫めると 「あははー。冗談、冗談。ちょっと言ってみたかっただけ」  と悪びれずに門脇は笑った。  だが、クロードは 「……」  黙り込んで、なにやら考えている様子だ。 「違う! 違うぞ、クロード!」  全力で否定するが、聞いているのか聞いていないのか。  クロードはそのまま黙ってしまったので、図りかねる。 「あのぅ……」  そこに申し訳なさげに 「俺、もう帰っていいですか? 家で勉強したいんで」  隣の理科室から、菊池がぼそぼそと言うのだった。  菊池が、「もう二度と赤点なんか取るもんか」と色んな意味で反省し、その後は必死で勉強したらしい。  その甲斐あって、次の考査では及第点に達することができたのは、その一ヶ月後のことであった。           -第6話・了ー
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