第7話 お兄さんと一緒

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第7話 お兄さんと一緒

 その日、将之が家に帰ると、居るはずない小さな生き物が居た。  なんとなく知己に面影の似たそれは、ぺこりとお辞儀をすると 「意地悪お兄ちゃん、お帰りなさい。お邪魔してます」  と言うのだった。  それを見て、将之は 「……せ、先輩! 座敷童が居ます!」  と思わず叫んだ。  将之の声を聞き 「ああ、それちょい前の流行だろ? なんでもかんでも妖怪の所為にするっての」  リビングから知己が現れた。 「宗孝は偉いな。ちゃんと挨拶をしたんだな」  その少年の頭を愛おしそうに撫でる。 「宗孝……?」  将之の2年前の記憶が蘇る。 「あ、思い出した。確か、先輩の甥御さんでしたっけ……」 「そう。お前にしては、よく覚えてたな」  知己は、意外そうに言った。 「僕を思いっきり忘れていたあなたに言われたくないですね」  将之は言い返したが、それはサラッと流され 「5歳になったんだぞ。ますます可愛くなっただろ?」  知己は、宗孝の頭を愛おしそうに撫でる。  親ばかならぬ叔父ばかである。 「その甥御さんが何故ここに?」 「今日から土日で、親父達と兄貴達夫婦が一緒に旅行に行ったんだよ。だから、俺が預かった」  思いがけない返答に、家主の将之は     
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