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もはや宗孝は半分夢心地で、言われるままに頷くだけだった。
「ちょっと、先輩。そのガキをベッドに寝せるんですか!?」
慌てて将之が問う。
「え? だって……、どこで寝せる気?」
「ここ」
「ここってリビング? まさか、ソファ?」
「そう」
「バカだろ、お前。五歳児の寝相、舐めんなよ」
「んなもん、舐めませんよ。先輩だったら別ですけど」
「それ、どういう意味?」
「ベッドで、先輩が寝相悪くて僕の領地にはみ出てきたら、報復で先輩を舐めてますって意味です。部位としては、主に腕とか顔とか……かな? 脚は、元の位置に戻すくらいです」
「……」
(こいつ、人が寝ている時に何しているんだ……?)
将之のセクハラ発言は敢えて無視し
「ソファだったら、落っこちるかもしれないだろ?」
と続けた。
「じゃあ、ベッドに三人で寝るんですか? このガキ挟んで、『川』の字で? 僕は嫌です」
「う……ん……。確かに。いくらキングサイズでも、さすがに狭いかな? さっきも言ったとおり、こいつの寝相悪いし」
腕の中の宗孝はすっかり寝入っていて、反論してこない。
「将之。お前、ソファで寝てくれ」
「それも嫌です」
「じゃあ、頼んだからな」
「耳、悪くなったんですか? 僕は嫌だと言ったんですけど……って、先輩?」
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