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「ベッドで寝せた先輩が悪い」
全く悪びれずに、将之は言った。
そのまま容赦なく、組み敷いた知己のパジャマを寛がせていく。
「や……、やめろって……!」
知己の方は、宗孝が気になって仕方がない。
隣で暴れるわけにもいかず、遠慮がちに声だけで拒否した。
そんな抵抗などには全く怯まず、怒りにまかせて将之は、広げた知己の胸元に顔を埋め、そこにも口付けの痕をいくつも残した。
「う、ん……。ぃ、い…や……だって……ば……!」
どうしても声が震えてしまう。
感じまいと思っても、無駄だった。
知り尽くした唇が知己に触れ、それに慣れさせられた身体が反応し始めていた。
だが、流される訳にもいかない。
(宗孝の横で、こんなこと、絶対に嫌だ……!)
知己は強ばる腕で、強引に脱がせようとする将之をなんとか止めようした。
「諦めが悪いな」
苛立たしげに将之がそう言うと、知己の両腕を掴み、肩の横で固定した。
真下に知己を見下ろす。
そして、もう一度知己にキスを求め、顔を近付けた。
が、知己の方は首を捩って、そうはさせなかった。
「……まだ、僕を怒らせる気ですか?」
静かに将之が言った。
無表情な将之の顔が、その心情をありありと伝えてくる。
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