第7話 お兄さんと一緒

9/23

301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
 再び場所をリビングに移したものの、さっきまでのやりとりがあった直後だ。  素直に、はいそうですかとソファに寝る気にはなれなかった。  どうしようかと戸惑っていると 「そういう所が強情ですよね、先輩は」  呆れたように将之が言う。 「うるさいな」 「そんなだと、押し倒されるのが趣味だと思われますよ? ほら、さっさと服脱いでソファに寝て」 「……」  言われれば言われるほど、将之の言うとおりにしたくない。 「あれ? やっぱり僕に剥かれて、押し倒される方がいいんですか? なんなら、ベッドに戻ってもいいんですけど」 「……くそ」  将之の性格の悪さは重々知っていたつもりだったが、それでも今日は格別に酷い。 「相変わらずの性格の悪さだな、『意地悪お兄ちゃん』」  せめて嫌みでも言わないと気が済まない。  吐き捨てるように言うと、観念して着ていた服を脱ぎ捨てて知己はソファに腰掛けた。  ソファの感触が直に肌に伝わり、ぴくりと身じろぎする。 「僕の所為にしますか?」  悪態つきながらも全裸になった知己に、将之が嬉しそうに覆い被さった。 「そうだろ?」  真上を睨み付けながら知己が言う。     
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加