301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
再び場所をリビングに移したものの、さっきまでのやりとりがあった直後だ。
素直に、はいそうですかとソファに寝る気にはなれなかった。
どうしようかと戸惑っていると
「そういう所が強情ですよね、先輩は」
呆れたように将之が言う。
「うるさいな」
「そんなだと、押し倒されるのが趣味だと思われますよ? ほら、さっさと服脱いでソファに寝て」
「……」
言われれば言われるほど、将之の言うとおりにしたくない。
「あれ? やっぱり僕に剥かれて、押し倒される方がいいんですか? なんなら、ベッドに戻ってもいいんですけど」
「……くそ」
将之の性格の悪さは重々知っていたつもりだったが、それでも今日は格別に酷い。
「相変わらずの性格の悪さだな、『意地悪お兄ちゃん』」
せめて嫌みでも言わないと気が済まない。
吐き捨てるように言うと、観念して着ていた服を脱ぎ捨てて知己はソファに腰掛けた。
ソファの感触が直に肌に伝わり、ぴくりと身じろぎする。
「僕の所為にしますか?」
悪態つきながらも全裸になった知己に、将之が嬉しそうに覆い被さった。
「そうだろ?」
真上を睨み付けながら知己が言う。
最初のコメントを投稿しよう!