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「それ、『ジュラ紀』の事ですね。そうではなく、ジェラシーな時期ってことで『ジェラ期』。『モテ期』みたいな感じで言ってみました」
何故か誇らしげな将之に
「そんな造語、要らない。とにかく、なんでもかんでも妬くな。俺の身が持たない」
としか知己は言えなかった。
「油断はできません。だって、あの子も十年も経てば十五歳でしょ? 立派に僕のライバルになり得ます。その上、先輩の溺愛っぷりが半端ないですし」
(十年経てば、俺も三十八歳。いい年したおっさんなんだけど)
「先輩は、男性限定で、異常にもてますから」
「男性限定って言うな」
ムッとして言い返す知己に
「門脇君問題は解決しました? 家永さんとは、ちゃんと清らかな関係でしょうね? あ、それから卿子さんとは、全然進展してないんでしょ?」
ここぞとばかりに、将之は攻め立てた。
「お前……。本当に、昨日から容赦ないな」
「どうせ、僕は『意地悪お兄さん』ですから」
(こいつ、根に持っていやがる……)
そう思いつつ、知己は朝食を済ませた。
やがて起きてきた宗孝に朝食を振る舞う。
その後宗孝を実家で待っているであろう兄夫婦の元へ送るべく、知己は車庫へと向かった。
車に乗ってすぐに、宗孝が口を開いた。
「あのね、叔父ちゃん。僕、昨日、夢を見たよ。叔父ちゃんが、意地悪お兄ちゃんに苛められている夢」
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