第7話 お兄さんと一緒

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「えっ……?」  嫌な汗が、どっと噴き出す。 「叔父ちゃん、意地悪お兄ちゃんに乗っかられて、なんだか苦しそうにしてた。うんうん唸っていたよ」 (まさか、宗孝……あのとき、起きていた?)  真偽を確かめようもない。  そんな勇気は、知己にない。 「そうか。そんな夢を見たのか……」  努めて平静を装って、答えた。 「叔父ちゃんは、いつも意地悪お兄ちゃんに苛められて嫌じゃないの?」  助手席に座る宗孝が心配そうに知己の顔を覗き込む。 「大丈夫だ」 「本当?」  座高の低さから、宗孝は知己を見上げる。  不安そうに瞳が揺れている。  自分を心より愛してくれる叔父を、宗孝も純粋に慕っていた。  あまりに清らかな視線に、知己は後ろめたさを感じてしまう。 「だって、それは夢だろ? だから大丈夫だよ。それは夢だから、叔父ちゃんは、本当は苛められてなんかないよ。それは夢だったんだから」  知己は、「それは夢」をやたら強調する。 「でも、意地悪お兄ちゃんは、やっぱり朝も意地悪を言ってたよね?」  ベッドルームでまどろんでいる宗孝に、朝のやりとりも聞かれていたようだ。 「そ、それは……」  知己は更に青ざめるが (朝はヤバい話、してないよな……?)     
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