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と思い、気持ちを奮い立たせる。
「それは……将之だから、仕方ない」
毅然と答える知己に、宗孝は
「?」
首を傾げた。
「つまりだな……ものすごく分かりにくいけど、あれでも良い所あるんだよ。(……多分……)」
「良い所は、分かった方がいいんじゃないの?」
「普通は、そうかもな」
「普通じゃないの?」
「うん……。なんて言うのか……、普通の人には分からなくてもいいんだよ。将之の良い所は」
「?」
「将之の良い所は、俺だけが分かっていたらいいんだよ」
そういう知己に、ますます宗孝は不可解だというような表情を浮かべるだけだった。
だが、宗孝は、子供心にも何かを思ったのだろう。
「ねえ、叔父ちゃん。僕、大きくなったら正義の味方になる。そしたら、悪の大幹部・意地悪お兄ちゃんをやっつけてあげる。そして、叔父ちゃんを助け出してあげる。だから、それまで我慢しててね、叔父ちゃん」
どうやら宗孝の想像の中では、壮大なヒロイックファンタジーが広がっているようだ。
さしずめ知己は囚われのお姫様(?)。
「悪の大幹部」というのは、多分、よく意味は分かっていないだろう。
可愛い甥っ子の精一杯の激励の言葉に
「ああ……うん……。その日が来るのを楽しみに待っているよ」
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