301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
「知っているんですよ、僕。先輩は最近、英語担当のハーフイケメン教師と、すっごーーーーーく仲がいいって話」
体を捻るように知己の方に向け、蕩々と語り出す。
「英語……、ハーフ……、イケメン教師……って」
思い当たるのは一人しかいない。
「クロードの事?」
「おや? もう『知己』『クロード』と呼び合う仲?」
「え……? あ……」
不意打ちで将之に「知己」と呼ばれ、うっかり胸が高鳴った知己だった。
だが、そんなことと関係なく将之の勢いは止まらない。
「そう。その『クロード』の事」
「と、隣の席だし。年も近いから、よく喋るだけ……だけど?」
「へえー。よく喋るんだ。へえー。それは、楽しそうですねー」
冷たく言う。
「変に勘ぐるなよ、将之」
「何言っているんですか? 勘ぐりたくもなりますよ。門脇君の次はイケメン英語教師? アリエナイ。僕が居ないとすぐ、これだ」
「これって?」
「浮気」
「う……浮気なんか、してないって」
今度は「浮気」という言葉に妙に照れてしまい、知己はほんのりと赤くなった。
それを動揺していると受け取ってか、将之は追求の手を休めない。
「じゃあ、なんで仲良し? 何でよく喋る?」
しつこく聞いてくる。
(あー。もう、めんどくさい)
知己の顔に、明らかにその感情が浮かんだ。
最初のコメントを投稿しよう!