第8話 疑惑に囚われた将之

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「知っているんですよ、僕。先輩は最近、英語担当のハーフイケメン教師と、すっごーーーーーく仲がいいって話」  体を捻るように知己の方に向け、蕩々と語り出す。 「英語……、ハーフ……、イケメン教師……って」  思い当たるのは一人しかいない。 「クロードの事?」 「おや? もう『知己』『クロード』と呼び合う仲?」 「え……? あ……」  不意打ちで将之に「知己」と呼ばれ、うっかり胸が高鳴った知己だった。  だが、そんなことと関係なく将之の勢いは止まらない。 「そう。その『クロード』の事」 「と、隣の席だし。年も近いから、よく喋るだけ……だけど?」 「へえー。よく喋るんだ。へえー。それは、楽しそうですねー」  冷たく言う。 「変に勘ぐるなよ、将之」 「何言っているんですか? 勘ぐりたくもなりますよ。門脇君の次はイケメン英語教師? アリエナイ。僕が居ないとすぐ、これだ」 「これって?」 「浮気」 「う……浮気なんか、してないって」  今度は「浮気」という言葉に妙に照れてしまい、知己はほんのりと赤くなった。  それを動揺していると受け取ってか、将之は追求の手を休めない。 「じゃあ、なんで仲良し? 何でよく喋る?」  しつこく聞いてくる。 (あー。もう、めんどくさい)  知己の顔に、明らかにその感情が浮かんだ。     
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