第8話 疑惑に囚われた将之

5/25

301人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
 そういえば、職員室で何度か姿を見かけたことはある。 (……監査にきている風には見えなかったが……)  職員室で会った時には、軽く知己に挨拶していた。  それで、委員会からの書類か何かを持ってきているのだろうという、お遣い程度にしか思っていなかった。 「後藤が、卿子さんからばっちり話を聞いてきたそうです」 「きょ……卿子さんから……!?」  知己は焦った。 「卿子さんは、一体なんて?」 (まさか卿子さんに、俺とクロードの事を変な風に思われている?!) 「隣の席になってから、いつもよく喋っているって。モデルみたいな美形が二人、揃っているのを毎日見ることができて、眼福ー♪……だそうです」 「……それ、喜んでいいのか、微妙だな」  とりあえず、変な誤解はなさそうだと安心した。  それよりも (なんで後藤君は、卿子さんとそんな話をしているんだ?)  その方が気になる。 (あれ? 職員室で少ししか見かけない……ということは……。玄関入ったすぐが卿子さんの居る事務室だけど、まさか、そこに入り浸っているのか? 後藤君は。いつの間に後藤君と卿子さんは、そんな話をする仲になってんだ? 俺は、全然知らないぞ)  嫌な方向にしか、思考が働かない。  そんな知己に     
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加