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そこは、新入生で溢れかえっていた。
「だろ。ま、この新入生の大体のめあては決まっているんだけど、ね」
苦笑いで言う五代に
「めあて? 部活見学じゃないの?」
将之が不思議そうに尋ねた。
五代が説明しようとしたその矢先、わっと歓声が上がる。
それで
「百聞は一見にしかず」
と言って、五代は指さした。
その先には
「……すっげ。何? あの人……超美人」
思わず将之が呟く。
四月といえど、防具を付けたままではかなり蒸れる。
練習試合が終われば、早々に面だけでも取る。
その人も、試合が終わったのだろう。
面を取ったその時に、歓声が起こったのだ。
その人は歓声が上がった方をじろりと睨むと、面白くなさそうな表情でぷいと横を向いた。
(面白半分に来やがって……)
と言った風情だ。
暑かったのだろう。
髪をまとめていた手ぬぐいを、手早く取って適当に汗を拭いたのだが、汗に濡れた前髪がはらりと垂れ、その仕草は尚も観衆をうっとりとさせていた。
当人はそれが不本意なのだろう。
人目が付かぬ道場の端に、不機嫌な態度で引っ込んでしまった。
奥に行くその男に
「平野の一挙手一投足に、湧いているなぁ」
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