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五代はいい人だったので、それ以上将之の発言に追求はしなかった。
「しかし、男性なのに、平野先輩目当てのギャラリーが多かったな」
「そりゃあ、あの外見だもの。近隣の女子高生より綺麗じゃないか。先輩を見に学校に来ているって奴も少なくないよ。先輩は高等部から鷹隼に入ったらしいけど、一年の時から超絶美人がいるって噂になってたから、僕もその噂を聞いて中学部から高等部に上がるのを楽しみにしていたんだ」
「でも、男だろ?」
明らかに、先ほどとはテンションだだ下がりの将之。
「学校って、そんなに面白い所じゃないじゃない? 勉強や部活に燃えている人間なら別かもしれないけど、ただ普通に学校来ている人には退屈な所じゃないかな。だから、男でも……というか男子校だから男しか居ないんだけど、近場の超美人を眺めて、みんな癒されているんだと思うよ」
「そんなもんかなぁ」
納得しきれないものを将之は感じていた。
こんな調子で、毎日朝練に行くと、いつも人だかりができていた。
朝練は、剣道場の掃除から始まる。
たかだか掃除なのに、既に人が集まっていた。
「暇人が多いね」
雑巾片手に将之が言うと、
「たすきがけの先輩が、いつもと違ってこれまた凛々しいからじゃないかな?」
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