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すっかり服装を整えて知己が答えた。
「ああ、分かりました。先輩のわがままボディを見に、人が集まるんですね」
「はあ?」
明らかに敵意を含んだ視線を向けられた。
次の瞬間には、パーンと張りのある炸裂音。
「痛ーっ……!」
将之は平手で叩かれていた。
叩かれた頬押さえる将之を後に、知己は不機嫌にずかずかとシャワー室から出て行った。
教室で再会した五代に、頬の赤さを指摘され、その経緯を話すと爆笑された。
「だから、気を付けろって言ったのに……」
笑い転げる五代の目には、笑いすぎて涙さえ浮かんでいる。
「もっと詳しく説明してほしかったよ。五代君は、先輩が先にシャワー浴びるのを知ってたんだろ?」
頬をそっと触ると、未だにひりひりと痛む。
「そうなんだけど、先輩の体凝視し過ぎてひっぱたかれた人が8割。鼻血吹いて、殴られた人が1割。写メ撮って携帯壊された人が1割で、中位君に何に気を付けさせたらいいのかをうまく伝えられなくて。まさか『わがままボディ』なんて失言吐いて、叩かれるなんて……」
五代は未だに笑いが止まらない様子。
将之は、赤くなった頬にハンカチを濡らして、そっと押さえる。
「まあ、あれを見たら、バストはなくてもいいかって気にはなった」
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