第8話 疑惑に囚われた将之

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 すっかり服装を整えて知己が答えた。 「ああ、分かりました。先輩のわがままボディを見に、人が集まるんですね」 「はあ?」  明らかに敵意を含んだ視線を向けられた。  次の瞬間には、パーンと張りのある炸裂音。 「痛ーっ……!」  将之は平手で叩かれていた。  叩かれた頬押さえる将之を後に、知己は不機嫌にずかずかとシャワー室から出て行った。  教室で再会した五代に、頬の赤さを指摘され、その経緯を話すと爆笑された。 「だから、気を付けろって言ったのに……」  笑い転げる五代の目には、笑いすぎて涙さえ浮かんでいる。 「もっと詳しく説明してほしかったよ。五代君は、先輩が先にシャワー浴びるのを知ってたんだろ?」  頬をそっと触ると、未だにひりひりと痛む。 「そうなんだけど、先輩の体凝視し過ぎてひっぱたかれた人が8割。鼻血吹いて、殴られた人が1割。写メ撮って携帯壊された人が1割で、中位君に何に気を付けさせたらいいのかをうまく伝えられなくて。まさか『わがままボディ』なんて失言吐いて、叩かれるなんて……」  五代は未だに笑いが止まらない様子。  将之は、赤くなった頬にハンカチを濡らして、そっと押さえる。 「まあ、あれを見たら、バストはなくてもいいかって気にはなった」     
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