第8話 疑惑に囚われた将之

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 急な話に、知己が驚いた。 「そしたら、あなたにはもう決まった特別な人が居るって一目瞭然でしょ?」 (指輪……? 俺は、将之のもの? 将之の特別な人?)  なんだろう。妙に胸がドキドキする。 「明日にでも指輪を買って帰ってきます。先輩、付けて下さいね」 (やばい。なんか、すっごい嬉しい気がする……)  知己の頬にほんのりと赤みが差す。  それを将之は承諾と取った。  すっかり機嫌も直っている。 「……って、ちょっと待て!」  ふと気付いた。  知己の指輪に気付いた卿子がどんな反応するか。  冷やかされても落胆されても悲しいし、祝福されてるのはもっと嫌だ。  ましてやノーリアクションなんて取られた日には、自分が恋愛対象の圏外を宣告されたも同じじゃないか? 「そんな指輪なんかした日には、卿子さんになんて思われるか……!」  どう転んでもいいことなんかない。 「何、言ってるんですか。どうせ相手にされていないんです。あなたとクロードさんの事を目の保養っていうくらいなんですから。今更、卿子さんにどう思われてもいいでしょう?」 「いや、よくない! 絶対にダメ! 指輪だけはダメだー!」     
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