301人が本棚に入れています
本棚に追加
急な話に、知己が驚いた。
「そしたら、あなたにはもう決まった特別な人が居るって一目瞭然でしょ?」
(指輪……? 俺は、将之のもの? 将之の特別な人?)
なんだろう。妙に胸がドキドキする。
「明日にでも指輪を買って帰ってきます。先輩、付けて下さいね」
(やばい。なんか、すっごい嬉しい気がする……)
知己の頬にほんのりと赤みが差す。
それを将之は承諾と取った。
すっかり機嫌も直っている。
「……って、ちょっと待て!」
ふと気付いた。
知己の指輪に気付いた卿子がどんな反応するか。
冷やかされても落胆されても悲しいし、祝福されてるのはもっと嫌だ。
ましてやノーリアクションなんて取られた日には、自分が恋愛対象の圏外を宣告されたも同じじゃないか?
「そんな指輪なんかした日には、卿子さんになんて思われるか……!」
どう転んでもいいことなんかない。
「何、言ってるんですか。どうせ相手にされていないんです。あなたとクロードさんの事を目の保養っていうくらいなんですから。今更、卿子さんにどう思われてもいいでしょう?」
「いや、よくない! 絶対にダメ! 指輪だけはダメだー!」
最初のコメントを投稿しよう!