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第8話余談 疑惑Plus
将之にとりあえず落ち着いてもらって、やっと知己は、仕事後のコーヒーを口にすることができた。
(期末の採点がやっと終わった所だったのに、将之の奴……)
ジュラ紀……じゃなかった、ジェラ期続行中。
(五歳の宗孝にばかりか、クロードにも妬くなんて。単なる同僚だって言うのに。全く、手が付けられん)
そこで、ふと思い出した。
(そうだよ。クロードの情報源と言えば……!)
対面キッチンでコーヒー豆の片付けをしている将之に
「将之。ちょっと、頼みたいことがある」
と今度は知己が声をかけた。
「なんですか?」
片付けの手を休めずに将之が言う。
「後藤君がうちの学校に来る日とか時間帯とか、お前なら分かるだろう。教えてくれ」
「……」
にわかに将之の顔が曇る。
「……嫌です」
「何故?」
折角の名案だと思ったのに。
将之が協力してくれなければどうにもならない。
「どうせ、その時間帯に卿子さんの所に先回りして、後藤を事務室に入れさせない作戦でしょ?」
あっさり、バレていた。
「何故、僕が先輩の恋の手伝いをしなくちゃならないんですか?」
「え、あ、いや……、恋って……」
知己が口ごもる。
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