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「以前にした約束、忘れているでしょ? 『あなたは僕以外を好きにならないで下さい』って約束。あの約束、続行中なんですけどね」
確か、2年前の忘年会だったか。
卿子と親しくなる将之に危機感を覚えた。
将之が、卿子と身体の関係を持ってもいいなどと不純なことを言うものだから、卿子に近付くのをやめさせる代わりにした約束。
「……覚えているよ」
「本当に?」
「あんなこと、忘れるものか」
(あんな所でヤりやがって……)
知己が赤くなった所を見ると、ちゃんと覚えているらしいと将之は判断した。
将之は、卿子にいらぬ接触を持たない約束を知己と交わし、その代償に知己を路地裏で犯した。
知己に奉仕を強要し、また知己に後ろを差し出すように要求した。
最後は、知己の嫌いな体位で貫いたのだ。
決していい思い出ではない。
「じゃあ、卿子さんに関わらないでください」
「分かってるって!」
苛立ちから声が荒ぶる。
「それと、お前は卿子さんを『卿子さん』って言うな」
知己は半ば自棄になって言い返した。
「……分かってる……けど……」
どうにも納得できない様子だ。
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